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翻訳

力の入れどころ

楽天のマー君が21連勝です。今季170敗です。

 

北海道に戻ってくると地元愛というのを目の当たりにする機会が多くあるのですが、駒大苫小牧出身のマー君は、北海道でも人気のある選手です。甲子園準優勝の時も、道民はハンカチよりマー君だよねと世間のハンカチフィーバーからは距離を置いていたそうです。

苫小牧出身の私にとっても、駒大に通っていた友達は多く、親近感があるのでマー君を応援しています。

 

さて、マー君のピッチングについてよく言われるのは、ランナーを出したら100%の力で投げ込んできて、絶対に本塁に帰さないということです。とりあえず7割くらいの力で放っておけば、マー君ほどの投手なら2割くらいしか打たれないのでしょう。つまり、ピンチらしいピンチは34イニングに1回、1試合で多くて3回です。そこで全力投球すれば8割がた抑えられる。書いてみると簡単な理屈ですが、21連勝と言うのはやはり現代野球では信じられない数字です。

 

ところで、映画の字幕翻訳もペース配分があるという点では同じなんです。字幕翻訳も最初から最後まで全力投球ではありません。あまり時間をかけずに翻訳していけるところと、じっくり練り込んで字幕を書かなければいけないところがあり、これを見極められれば字幕翻訳界のマー君になれるわけです。




 

映画を序盤・中盤・終盤の3つのパートに分けてみると…

 

序盤 1回〜3

野球で言うひと回り目です。

映画の最初の20分くらいは、キャラクターの紹介に費やされる時間帯です。ここのポイントは下記の3点です。

 

1.役名をどんどん出して、見てる人に登場人物の名前を覚えてもらうこと。文字数制限の中で、呼びかけられた名前というのは削除の第一候補に挙げられがちですが、序盤は名前をガンガン出さなければいけません。

 

2.序盤の一見、本筋とはあまり関係のない短いエピソードは、登場人物の性格を見てる人に伝えるためのものです。オフィスで部下にリストラを宣告し、帰宅しても両親から「もう3年も帰ってきてないわね」なんて留守電が残っている。こんなシーンがあったら、それは登場人物の周囲の人との関わり方を示すエピソードです。ただ漠然と英語を順番に翻訳していくのではなく、この人物の孤独感を伝えられる言葉を意識して選ばなければなりません。場面やセリフを正確に伝えるだけでなく、見てる人にこの人は寂しい人なのね、うんうんとうなずいてもらうことを意識しましょう。

 

3.場所と時代が分かるセリフを逃さないこと。はるか未来のSFや中世が舞台の時代劇くらいになれば、映像から時代が違うのが一目瞭然なので、さほど気にしなくてもいいのですが、1900年〜1980年くらい、あるいは2030年くらいの近未来は、セリフに年数が入っていれば、やはり伝えておきたいところです。

場所は外国人にとってはイメージを持ちにくいのであまり重要ではないかもしれませんが、逆に私たちが邦画を見る時、舞台が東京なのか、大阪なのか、北海道なのか、沖縄なのかを分かったうえで見るのは、100%その映画を楽しむには大事なことですよね。

 

中盤 46

先発投手は5回まで投げ切れば、勝利投手の権利を手にできる重要な場面です。

字幕翻訳で全力投球が必要なのは、実はこの中盤です。なぜなら3060分くらいで事件が起きたり、最初の前提がひっくり返されたりしなければ面白くないからです。起承転結のですね。必然的に説明的なセリフが多くなり、字幕翻訳者の腕の見せ所になります。

 

1.動機と利害関係は大切です。なぜこんなことを言うのか?なぜこんな行動を取るのか?それによってどんな利益があるのか?動機を意識しないで、ただ英語が訳されただけの字幕は頭に入ってきません。説明になっていないからです。

 

2.第三者のことを話題にしている時に、それが誰の話か見てる人に伝わるかを意識すること。AとBが話していて、Aのことを愛してる、Bのことを恨んでるとかいうやり取りはそれほど苦労することなく字幕にできます。問題はAとBがCの行動についてあれこれ話し、俺はCがああしたのはこうだからだと思う。Bはどう思う?と言ったような主語の候補が3つ挙がるような会話の翻訳です。客観的な視点をもって、見る人が混乱しないような字幕を意識して作らなければなりません。

 

3.犯人は奴じゃなかったんだ!とはっきり書く。上手な脚本ほどこんなベタなセリフは書かないもので、凝った言い回しでカッコよい決め台詞が書かれているものです。しかし字幕は文字情報のみで、吹き替えのような声優さんの演技もつきませんから、たとえ凝った言い回しでも、ベタに伝えなければなりません。大事なセリフが物語の核心に迫るものであればあるほど、ましてやそれがどんでん返しを伝えるセリフであれば、原語から多少離れても誰の目にも明らかな物言いにしなければなりません。

 

終盤 79

野球においては勝負を決める大事な段階になりますが、字幕翻訳では最も簡単な部分であることが多いです。ここまでをうまく訳していれば、見てる人も多少のことでは物語が理解できないような事態には陥りませんし、字幕翻訳者もここまで来て流れに乗れないことはありません。

大抵の映画は90分を超えたあたりに新事実を持ってきたり、観客の盛り上がりに水を差すような長い説明セリフを持ってきたりもしません。あとは見る人の邪魔にならないよう、流れに乗るだけです。


サスペンスなどでは事件解決パートが来ることもありますが、中盤がうまく訳せていれば、終盤だけうまく訳せないなんてことはまずありません。逆に言えば、中盤がうまく訳せていなければ、終盤の解決パートは完全に破綻します。ここまで来て、セリフの意図が分からない、うまく訳せないと悩んでしまったら、そのまま止まらず、中盤の翻訳に戻りましょう。そこに原因があるはずです。

 

ということで、映画本編を翻訳する際のペース配分のお話でした。

 

マー君、200敗目指して頑張れ〜!

  • 2013.08.17 Saturday
  • 11:22

Comment
分かりやすい説明はさすがです。野球ファンにはますます分かりやすい!
  • Kai
  • 2013/08/17 4:59 PM
ありがとうございます!
今月末、札幌ドームで西武戦行ってきます!
  • ARO
  • 2013/08/17 6:38 PM
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