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翻訳

「ライフ・オブ・パイ」見ました!

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」見ました。

ライフ・オブ・パイ 

ベストセラーが原作の映画ですね。原作の小説と同じくらい面白い映画といえば、私の中では「2001年宇宙の旅」(原作はアーサー・C・クラーク)と「予告された殺人の記録」(ガルシア・マルケス)です。「薔薇の名前」や「ソフィーの選択」は、残念ながら原作に遠く及びません。

 

この「ライフ・オブ・パイ」も原作は読んでませんが、おそらく原作のほうが面白いと思います。いや、映画も面白かったんですよ。前半の船が難破するシーンや海いっぱいのクラゲのシーンなどは美しくて、映画はこうでなきゃという感じですが、如何せん映画の大半が少年と虎の2人きり。ナレーションで話を進めなければいけないので、いかに生き残る術を確立していったかの描写や少年の心理描写は、おそらく小説のほうが優れているんだろうなと思います。

 

最高の映画と最高の小説ならどちらが面白いのでしょうか?

 

答えは出ませんね。ジャンルによるといったところでしょうか。SFやファンタジーなら「スター・ウォーズ」「エイリアン」「ロード・オブ・ザ・リング」などは、最高のSF小説やファンタジー小説と肩を並べる気がします。

でも、いわゆる“物語”は、最高の小説の勝ちでしょうね。ポール・オースターの「ミスター・ヴァーティゴ」、村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」、カズオ・イシグロの「日の名残り」、サマセット・モームの中短編と同じくらい面白い物語映画は、なかなかないのではないでしょうか。
ウディ・アレンなんかの映画は“物語映画”と言えますし、そういう意味ではタランティーノもそうです。でもやっぱり“物語”は、小説の勝ちでしょうね。

 

なぜでしょうね?


それはおそらく参加の度合いだと思います。読書はかなり積極的に参加しないと読めません。映画と違って、いくらでも途中で読むのをやめられますし(まあ、映画もDVDを止めればいいんですが、映画を2〜3回に分けて見ることはあまりないですよね)、登場人物の顔も建物の様子も景色の描写もすべて自分の脳内で構築しなければ楽しめません。映画は視覚にも聴覚にも一方的に情報が入ってきますし、ヘタすると物語の筋も先を見なくても分かっちゃうくらいにパターン化されています。

やはり苦労して味わった物語のほうが読み終わった後に達成感があるのでしょう。キャンプ場で、自分たちで作ったカレーの味は2割増しというのと同じです(野球場で食べるカレーもなぜか2割増しでおいしいですが、これは達成感とは無関係です)。

 

で、「ライフ・オブ・パイ」ですが、これは立派な物語ですね。映画の作りからして、登場人物が若き日の冒険を語るという構成ですから、メッセージとか社会性とかを読み取らなきゃと身構える必要もありません。物語全体がメタファーみたいな作りですが、こういうのは大好きです。私はメタファーの解説みたいな本やコラムが原作以上に大好きで、人によっては何とも興醒めだと言われてしまいそうです。でも、村上春樹の小説のメタファー解説集とか大好きです。デヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」の考察などがネット上にあった時は、当時はまだこの手の掲示板的なものが少なかったせいもあってか夢中で読みました。

 

こういうのは実は、映画監督や脚本家のインタビューやコメンタリーの翻訳で役に立ちます。彼らは誰よりもその作品のことを知っているので、その意図や隠れたメッセージを夢中で語ります。しかも特にしゃべりがうまいわけではないので、言ってることの意味が取りにくいんです。しゃべりのプロでない人が、人前で夢中になって自分の好きなことを話していることほど性質の悪いものはないでしょう?だから、普段からオタク的な思考に慣れておく必要があります。深読みする人の言ってることを理解するには、深読みできなければいけません。逆に俳優のインタビューは楽です。俳優って演じるのが仕事なので、実は映画の全体像やメッセージには疎いんですよ。たとえメッセージに触れても教科書通りのことしか言わないので、意味を取るのは楽です。トム・クルーズのインタビューなんか最高です。予想外のことは全く言いません。これぞ映画スターです。逆に映画監督や脚本家よりもさらに性質が悪いのはミュージシャンです。彼らは言葉で何かを伝えようって気はまったくありません(全員じゃないですよ)。翻訳自体が楽なランキングは、トム・クルーズ⇒一般の俳優⇒プロデューサー⇒監督・脚本家=CG技術者⇒ミュージシャンの順です。

 

ということで、たまにコメンタリーなどがDVDにあったら、見てあげてください。ほとんどの人が最後まで見ることのないこの特典映像は、字幕翻訳者の汗と努力の結晶なのです。

  • 2013.06.14 Friday
  • 14:06

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